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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2021年2月号掲載

簡単にできる「医療費控除」

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領収書の集計は不要

A 今回は確定申告に関連して、医療費控除をとりあげるよ。

B 医療費控除って、支払った医療費が多かった場合に税金が減額されるものですよね。

A そうだよ。1月1日から12月31日までの1年間で、10万円を超える医療費などを支払った場合、その超える部分の金額が税金の計算上、所得金額から控除される。たとえば、医療費の支払い額が30万円であれば、10万円を引いた20万円が控除額となる(注1)。この医療費控除は、通常は確定申告する必要がない会社員の場合であっても、確定申告をしなければ適用を受けることができないんだ。

B 確定申告をするとなると手続きが面倒ですよね。病院や薬局の領収書を集めて計算しなければならないですよね。

A かつては申告書にすべての領収書の添付が必要だったけれど、いまは領収書の添付は不要なんだ。2017年分の確定申告から、かかった医療費を一覧表にした医療費明細書を添付すればいいことになっている。この明細書のフォームは国税庁のウエブサイトからダウンロードできるよ。

B でも集計は必要ということですよね。

A 集計も必ずしも必要ではない。医療費明細書が必要といったけれど、健保などから送られてくる「医療費のお知らせ」を医療費明細書の代わりに使うことができるんだ。

B 「医療費のお知らせ」ってなんですか?

A あまり病院にかからない人は知らないかもしれないけど、健康保険などの保険者が各被保険者ごとに医療費の額をまとめて送付している(注2)。いつ、どの病院や薬局でいくら支払ったかが一覧表になっているんだ。

B 一覧表を健保で作ってくれているわけですか。それを確定申告のときに添付すればいいというわけですね。その「医療費のお知らせ」はいつ送られてきますか?

A 送られる時期や頻度は保険者によって異なる。年1回のところも年2回のところもある。多くは、確定申告の時期に合わせて1月か2月に送られてくるよ。ただし、送られてくる「医療費のお知らせ」には時間の関係で12月末日までの医療費がすべて記載されてはいない。

B いつまでの分が記載されているのですか?

A それも保険者により異なるけれど、おおむね9月から11月分までは記載されている。ちなみに協会けんぽの場合は年1回、1月中旬から2月上旬に送られるが、9月分までしか記載されていない。

B それ以降に病院にかかっている場合は自分で集計する必要があるということですか。

A 残念ながらそういうことになる。

B 結局、医療費明細書を作ることになるわけですね。

A それでも1月分からすべて明細書を作ることに比べたら手間はかからないよ。

B それはそうですね。

「医療費のお知らせ」に記載されていないものも

A 「医療費のお知らせ」を医療費明細書に代替する場合の注意点を話しておくと、時間の関係で「医療費のお知らせ」に載っていない年末分のほかに、そもそも「医療費のお知らせ」に載っていないものは、やはり医療費明細書を作る必要がある。

B 「そもそも載っていないもの」ってなんですか。

A たとえば、保険の適用がない自由診療で支払った金額だ。「医療費のお知らせ」は、健康保険組合などに病院や薬局から請求があった分について記載されている。自己負担割合が3割ではなく、100%自己負担の自由診療では、そもそも健保などが医療費を負担するわけではないので、記載されていないんだ。

B 保険が適用されない医療費も医療費控除の対象になるということですか。

A そういうことだよ。ほかにも、たとえばドラッグストアで購入した風邪薬なども医療費控除の対象になる。また、病院に通うのにバスや電車に乗った場合、その交通費も対象になる。これらのものは当然「医療費のお知らせ」には記載されていないので、別途医療費明細書に記載する必要があるよ。

(注1)「総所得金額等の合計額×5%」が10万円未満の場合は、「総所得金額等の合計額×5%」を超える金額が控除される。
また、いずれの場合も入院給付金など保険金等で補てんされる金額がある場合は、それを支払った医療費の金額から控除する。

(注2)健康保険では通常、会社あてにまとめて送付される。国民健康保険では各被保険者(世帯主)に個別に送付されている。

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