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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2021年6月号掲載

住宅購入資金の贈与

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省エネ住宅はプラス500万円

A マイホームを取得するときには、ほとんどの人が自己資金だけでは間に合わないので住宅ローンを組むが、親から資金援助を受けるというケースも少なくない。つまり、親から贈与を受けるということになるけど、その際に贈与税が非課税になる特例がある。

B 住宅資金となると金額が大きいですからね。いくらまで非課税になるのですか。

A 最大で、1500万円までの贈与が非課税になる。ただし、これは一定の要件を満たした省エネ住宅や耐震住宅の場合だ。それ以外の住宅の場合、非課税枠は1000万円だ。

B 省エネ住宅だと500万円も多くなる……。どのような要件を満たせば1500万円に該当しますか。

A 基準はいくつかあるが、たとえば、省エネ住宅では、断熱性能等級というのがあって、4段階のうち、最高の等級4に該当すれば、非課税金額が1500万円になる。3以下だと1000万円だ。

B 断熱性等級というと……。

A 細かい基準があるがここではとりあえずスルーして、要は断熱性に優れた住宅ということだ。断熱性や気密性が高ければ、それだけ冷暖房が節約でき省エネになる。具体的には、低炭素住宅、長期優良住宅、ZEH(ゼッチ)などと呼ばれるものはいずれも1500万円の対象になるよ。

B ZEH(ゼッチ)ってなんですか。

A ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、太陽光発電などで、生活に使うエネルギーをすべて賄える住宅のことだよ。

B 外部から電気を購入しなくてもいいということですね。

A そうだよ。地球温暖化対策としてCO2の削減が課題となっているが、家庭生活におけるCO2の排出量を減らすために、政府はこうした省エネ住宅の建設を推進している。贈与税の特例もその一環ということだよ。この特例以外にも、同様に一定の基準を満たした場合、住宅ローン控除の控除額が大きくなったり、住宅金融支援機構のフラット35の金利が優遇されたりするんだ。すべて脱炭素のための施策だよ。

期限は2021年12月末

B ところで、1500万円の非課税枠は基礎控除110万円とは別に使えるということですか。

A そのとおりだよ。基礎控除110万円と合わせて1610万円まで非課税となる。また、相続時精算課税とも併用できるので、特別控除額2500万円と合わせて最大4000万円まで贈与税の負担なしに贈与が可能だよ。

B それは大きいですね。

A ただし、相続時精算課税の場合、贈与額のうち特例の非課税枠を超える部分――すなわち特別控除額の部分は、相続税の計算の際、相続財産にもち戻すことになるので、実質的な非課税枠としては最大1500万円となる。

B そのほかに注意することはありますか。

A まず、贈与を受ける人の年収制限がある。贈与を受けた年の合計所得金額が、相続時精算課税の適用を受ける場合を除き2000万円以下であることが必要だ。また、取得する物件の床面積が50㎡以上――ただし合計所得金額が1000万円以下の場合40㎡以上であることなどが要件となっている。「40㎡以上」は2021年4月からの改正事項だ。それと、期限があって2021年12月31日までの住宅取得の契約が対象となっている。

B 延長される可能性はありますか。

A 過去にも延長されているので可能性はあると思うが、今の段階では確たることはいえないよ。かりに延長されたとしても、非課税枠の上限が引き下げられる可能性もある。というのも、もともと、2021年4月以降、非課税枠が最大1200万円に引き下げられる予定だったんだ。それが税制改正で、引き続き2021年の年末まで1500万円とされたんだ。

「直系尊属(親や祖父母)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の概要

暦年課税の場合 相続時精算課税制度の場合
非課税となる額
  • 一定の省エネ、耐震住宅等:1500万円
  • 上記以外:1000万円
受贈者の要件
  • 20歳以上
  • 合計所得金額が2000万円以下
  • 20歳以上
取得する住宅の床面積要件 50㎡(合計所得金額が1000万円以下の場合は40㎡)以上240㎡以下 50㎡(合計所得金額が1000万円以下の場合は40㎡)以上

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