兵庫県 神戸市立神陵台中学校
三学年 藤尾 淳平(ふじお じゅんぺい)
〝まさか〟は、急に、すぐ近くに。
新型コロナウイルスの流行が始まって以来、私たち家族は不要不急の外出を避けて、できるだけ「ステイホーム」を心がけて生活してきました。
ニュースでは、連日、多くの感染者数が報道されていて、その数に驚いたり、ショックを受けたりしてきました。
でも、通っている学校や近所など、身近には感染した人がいると聞くことがありませんでした。
だから、私にとっては、コロナ禍は、恐ろしいと思い用心しながら生活していても、どこか遠くの出来事のように感じていました。
しかし、今年の春に、自分の知っている人が感染しました。
父が仕事でお世話になっている方です。
『まさか』と思いました。
大変なことに、大阪や兵庫の医療がひっ迫していた時期だったので、なかなか病院に入ることができず、入院できた時も何十キロも離れた病院に運ばれたと聞きました。
また、なかなか病院に入れなかったのがよくなかったのか、回復までにものすごく時間がかかったそうです。
医療がひっ迫しているとは聞いていたけれど、まさか、日本に住んでいて、なかなか医療を受けられなかったりして困るとは、考えたこともありませんでした。
そして、それが身近な人に起こるなど、全然考えたことがありませんでした。
でも、やっぱり、まだ自分の外側の出来事のように感じていました。
そんな私にも、本当に自分のこととして考えざるを得ないことが起きました。
なんと、自分の家族が感染してしまったのです。
そして、私自身も濃厚接触者に認定されてしまいました。
幸いにも症状が軽かったので大事には至りませんでしたが、家族はすぐには入院できず、何日か家で自宅療養することになりました。
ここで私は初めて、『自分の家族が死んでしまったらどうしよう。』、『自分も死ぬかもしれない。』と思いはじめました。
感染したり、濃厚接触者になってしまうと、仕事にも学校にも塾にも行けなくなります。
今まで当たり前だった日常が急にストップして、これから予想されること、心配なこと、どうしたらいいかを家族で話す時間を持ちました。
仕事に行けないことは、父の話で保険に入っているから大丈夫ということを知りました。
生命保険には、死亡しなくても、入院した費用を支払ってくれる制度があったので、医療費や入院費は保険で賄うことができました。
また、通えない学校や塾は、デジタルデバイスの力を借りて参加したり、学習をサポートしてもらうことができました。
私たち家族は、病気がちでもないし、まだ若いし、今まで、普段の生活で〝死〟を意識することはなかなかありませんでしたが、父が〝まさか〟に備えて、保険に入ってくれていたおかげで、今回は、安心して病気を治すことに専念することができました。
また、死や病気について、恐ろしいとは思っていても、我が身に起こるとは全く考えていなかった私も、濃厚接触者になって、死や病気について考えました。
誰でも死や病気について普段の生活では考えたくないと思うものだと思うし、私もそんな人間の一人でした。
しかし、今回のことで、気を付けて生活していても避けては通れない死や病気があるということを学びました。
また、今回のように、死や病気は、〝まさか〟というタイミングで起こるし、意外と普段の生活のすぐ近くにあって、気が付いた時には目前に迫っていたり、すでに起こっていたりするものだと知りました。
だからこそ、事前に備えることが、自分や自分の家族を守るためにとても大事なことだとわかりました。
今回の出来事は本当に大変でしたが、〝まさか〟について家族と話す機会を持つことができたことだけは、よかったと思います。
私自身は、今回の出来事が起きてしまってから考えることになりましたが、普段の生活で、死や病気のことを考え、保険に入り、備えていてくれた父に感謝したいと思いました。