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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2022年9月号掲載

75歳で後期高齢者に、年下の妻の健康保険は?

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間もなく75歳になります。75歳になると後期高齢者医療制度の対象になるとのことで、その保険証が送られてきました。私は会社経営をしていて、これまで協会けんぽに加入しています。妻は2つ年下で私の健康保険の被扶養者になっています。私が75歳になって協会けんぽから後期高齢者医療制度に移ると、妻の健康保険はどうなるのでしょうか?

後期高齢者医療制度には被扶養者の扱いはありません。したがって、奥さまは独自に国民健康保険の被保険者になるなどの対応が必要です。

「被扶養者」の制度はない

公的医療保険には健康保険(協会けんぽや健康保険組合が運営するもの)や国民健康保険(市区町村などが運営するもの)がありますが、いずれも対象は75歳未満の人であり、75歳以上の人はすべて後期高齢者医療制度の対象になります。すなわち、健康保険の加入者も国民健康保険の加入者も75歳になると、それらから脱退し、後期高齢者医療制度の被保険者になります。

以下、説明の便宜上、相談者をAさん、その妻をBさんとして話を進めます。健康保険では被保険者(Aさん)に扶養されている人(Bさん)は被扶養者という扱いになります。「扶養されている」というのは「生計を維持されている」ということで扶養されている人(Bさん)の年収が一定額(60歳未満は130万円、60歳以上は180万円)未満であるかどうかにより判断されます。Aさん夫婦の場合、Bさんがこの要件に当てはまるのでAさんが被保険者である健康保険の被扶養者になっているわけです。

さて、Aさんが75歳になると、Aさんは後期高齢者医療制度の被保険者になりますが、Bさんはまだ75歳になっていませんので後期高齢者医療制度の対象ではありません。一方でAさんは健康保険の被保険者ではなくなりますから、Bさんも健康保険の被扶養者ではなくなります。また、後期高齢者医療制度には被扶養者という制度はありません(扶養家族も含め一人ひとりが被保険者になります)ので、BさんはAさんとは別に、公的医療保険に入る必要があります。

もし、Aさんのほかに、家族に健康保険の被保険者がいれば(たとえば子どもが会社員であるなど)、その被扶養者として健康保険に入ることが考えられます。しかし、そうした家族がいなければ、Bさん自身が国民健康保険の被保険者になる必要があります(市区町村役場で手続きが必要です)。

保険料負担が生じるが……

Bさんが国民健康保険に加入すれば、保険料の納付が必要になります。健康保険では、被扶養者分の保険料の負担はありませんので、新たな保険料負担が生じます。ただし、このようなケース(健康保険の被保険者が75歳になって、その被扶養者が国民健康保険の被保険者になった場合)には、国民健康保険の保険料が減免されることになっています。

ところで、後期高齢者医療制度では、病院などで診療を受けた場合の自己負担割合は原則1割となっています。健康保険では70歳以上の人の自己負担割合は原則2割なので、自己負担は少なくなります。ただし、いずれもいわゆる現役並み所得者は3割とされています(Aさんは会社経営者なのでこれに該当するかもしれません)。また、今年(2022年)10月から、後期高齢者医療制度にも、自己負担割合が2割の区分が新設され、所得に応じて、1割、2割、3割のいずれかになります。

Profile

武田祐介

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランナーの教育研修、教材作成、書籍編集の業務に長く従事し、2008年独立。武田祐介社会保険労務士事務所所長。生命保険各社で年金やFP受験対策の研修、セミナーの講師を務めている。

公式HP https://www.officetakeda.jp/

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