歩くだけの、シンプルで手軽な運動で人気のウォーキング。健康にうれしい効果もあります。今回は、知っているようで知られていない、ウォーキングの楽しみ方をご紹介します。
散歩とウォーキングは何が違う?
ウォーキングとは、日本語にすれば「歩くこと」という意味です。
歩くのなら散歩でもいいのではないかと思う人もいるかもしれませんね。まず、散歩とウォーキングの違いを押さえておきましょう。
散歩とは?
心身をリフレッシュするためにリラックスしながら散策する
目標は決めずに気持ちの向くままの距離を歩く
自然な姿勢でのんびりと景色を楽しみながら歩く
ウォーキングとは?
健康やダイエットなどを目的に運動として歩く
時間や距離などある程度の目標を定めて歩く
適切な姿勢を保ちながら一定の速度・時間を歩く
散歩は、簡単に言えば「気分転換」を目的に、好きな時間・距離を歩くことです。特に目的地も決めず、自由に歩きます。
それに対してウォーキングは、「運動として歩くこと」と言えるでしょう。一定以上の時間や距離を、適正な姿勢を保ちながら歩くことで、ダイエットや生活習慣病予防などの健康効果が期待できます。
脂肪の燃焼効果でダイエットにも
ウォーキングは、有酸素運動(筋肉への負荷が軽く、長時間続けて行える運動)の代表とも言えるものです。
筋肉を動かす時に体内の糖や脂肪とともに酸素を使うため、有酸素運動と呼ばれ、体脂肪の燃焼効果や呼吸器系の機能の向上効果が期待できます。
無理な食事制限などでダイエットするとリバウンドの心配もありますが、ウォーキングなら継続することでダイエット効果が持続するのではないでしょうか。
ウォーキングで脚の老化を食い止める
日本は世界でもトップクラスの速さで高齢化が進んでいると言われています。
「老いは脚からくる」などと言われるように、加齢とともに下半身の筋肉は落ちやすくなります。脚の筋力を維持することは、健康寿命(※)を伸ばすためにも大切なポイントです。
また、ウォーキングで脚の筋肉や関節、骨の丈夫さを維持できれば転倒防止に繋がり、重大なケガの防止にもなります。
デスクワーク中心の人は、1日の大半を座って過ごすことが多いと思います。座っている時間を最小限にして、その分ウォーキングの時間に当てることで、脚の老化を食い止めるようにしたいものです。
(※)健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間。2019年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳。(厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」)
どれくらい歩いたらいいのか?
ウォーキングを始めようとしたときに直面するのは、「どれくらい歩いたらいいの?」ということでしょう。
一般的には、1日1万歩歩くのが理想と言われますが、これは厚生労働省の「健康日本21」での歩数目標です。
ただし、現実は少し違うようで、同じく厚生労働省の「国民健康・栄養調査(令和元年)」で見ると、20歳以上の1日の歩数の平均値は男性で6793歩、女性で5832歩でした。
頑張って1万歩歩いたときの距離は、成人の平均的な歩幅70センチで歩くとすると約7キロです。時間にすると、歩く速さにもよりますが、1時間半から2時間程度かかります。これからウォーキングを始めるには少々ハードルが高いかもしれません。
1万歩歩かなくても効果がある?
最近では1万歩まで歩かなくても、健康効果が見込めるとの見方もあります。
東京都健康長寿医療センター研究所が、群馬県中之条町で10年以上行った研究(中之条町研究)では、1日あたり8000歩程度で、その中に速歩を20分程度含まれていれば、健康維持に効果があるそうです。
避けたいのは、無理をして脚や膝を痛めたり、続かなくなること。スマートフォンの歩数計などで毎日の歩行データを確認し、無理のない歩数や距離から始めるのがよいでしょう。
ウォーキングの実践方法
ウォーキングでは、歩くときの姿勢もポイントの1つです。
上半身はまっすぐに保ち、歩いているときには体の中心(軸)がぶれないように気をつけましょう。頭が上から吊るされているようなイメージで歩くと、自然に理想的な姿勢になります。
正しい姿勢ができれば、自然とかかとからの着地もできるようになり、視線も真っ直ぐ向くようになります。
慣れないうちはゆっくりと歩きながら、ここで紹介したようなフォームを意識してみてください。
〈参考〉スポーツ庁 Web広報マガジン「DEPORTE」▶https://sports.go.jp/special/value-sports/plus-10-minutes-walking.html
目的を持って歩いてみることも
ウォーキングにプラスアルファの楽しみを加えると、長く続けることができますので、一例をご紹介します。
◎ ウォーキングを趣味にする!?
趣味を始めるとなると、それ専用のものを用意するなど、何かとお金も必要になります。ウォーキングなら、用意するのは基本的に専用シューズのみ。プラスして動きやすいウェアがあれば十分です。
少ないコストで、健康促進や新たな趣味につながっていくかもしれません。
お金をかけない趣味を持つことも、物価高を乗り切る知恵の1つですね。
◎自分の住む街を再発見
何十年も住んでいるのに、これまで知らなかったものを発見できることも、ウォーキングの楽しみです。
基本的にどこを歩いても自由ですから、普段はあまり足を向けていなかった道を選んで歩いてみましょう。ウォーキングの速度なら、新たに発見できるものもあるのではないでしょうか。
珍しい風景、知らなかったお店やカフェなど、地元を再発見したり、新たな興味の発見につながるかもしれません。
◎旅先でもウォーキング
車や電車で少し足を伸ばして気になっていた街をウォーキングしてみると、また違った観光気分に浸れます。
史跡や城跡、神社仏閣を巡るのもいいですし、その土地ならではグルメを楽しむのもよいでしょう。博物館や美術館めぐりで感性を磨くのもありです。
ガイドブックには掲載されない、自分だけの穴場を発見できるかもしれません。
ギリシャの医師であるヒポクラテスはこんな言葉を残しています。「人間にとって最高の薬は歩くことだ」と。
歩けば万病が予防できるのだといっているようですね。皆さんも、今日からでも、ウォーキングを生活の一部に取り入れてみてはいかがでしょうか。
スニーカーでもウォーキングはできますが、スニーカーは機能性よりもファッション性が重視されています。
ウォーキング専用のシューズは、脚のサポートに優れ、長時間歩いても疲労が軽減される工夫がされています。なるべくウォーキング専用のものを用意したいものです。
シューズの大きさは?
足に合ったシューズ選びは1番のポイントです。サイズが合わないと、靴ずれやケガの原因になってしまいます。ピッタリしたサイズよりも、つま先に1センチ程度余裕がある方が圧迫感がなく、歩きやすいと言われています。
シューズは、足の長さ(足長)・足の幅(足幅)・足幅の周囲の長さ(足囲)の3点を測り、サイズ表を見て選ぶようにしましょう。
❶足長
もっとも長い指の先から、かかとの出っ張りまでの長さです。左右の足で長さが違う場合は、長い方に合わせます。
❷足幅
親指側と小指側でもっとも幅が広い部分を、一直線に測ったときの長さです。足の甲に沿って測るのはNGです。
❸足囲
親指・小指の各付け根の出っ張り部分を基準に、ぐるりと測った長さです。メジャーで測りにくい場合は、紐で測った後に定規などで長さを確認します。
クッション性は?
着地の衝撃から足を守ってくれるのが、ソール部分のクッションです。長い時間を歩けば、それなりに体への負担がかかります。衝撃を緩和して吸収してくれるものなら、体への負担も軽くなり、ケガの予防にもなるでしょう。ソール部分に厚みのあるものを選ぶとよいでしょう。
デザイン性は?
気に入ったタイプのデザインやカラーで選んでもよいでしょう。お気に入りの一足なら、ウォーキングのモチベーションも上がること間違いなしです。
仕事にも使えるビジネスタイプのウォーキングシューズもあります。通勤で長く歩く人や、外歩きの多い人はこういったタイプを選べば、自然とウォーキング習慣ができます。