死亡保険金と死亡保険金受取人
「死亡保険金」とは、被保険者の「死亡」により生命保険会社が死亡保険金受取人に支払うお金のことをいいます。
死亡保険金受取人は保険契約者が指定しますが、この死亡保険金受取人を誰に指定するか、または被保険者や保険契約者との関係などは、法律や保険約款において特段の制限を設けてはいません。ただし、全くの第三者を指定することによるモラルリスク等を勘案して、相続人を死亡保険金受取人に指定するのが一般的です。
死亡保険金は、生命保険契約に基づいて死亡保険金受取人が取得するものであり、受取人の固有の財産です。したがって本来の相続財産ではありませんが、相続税法上は、相続や遺贈によって財産を取得したのと同じ経済効果があると認められるものについて「みなし相続財産」としてその課税価格に加算することになっています。
これによって契約者である被相続人の死亡によって支払われる死亡保険金は、相続放棄者でも相続人以外の人でも受取人になっていれば受け取ることができ、受け取った保険金は相続税の課税対象となります。ただし、この受取人には死亡保険金の相続税非課税措置(「500万円×法定相続人の数」までの金額)の適用はありません。
契約者が生存中に支払われる死亡保険金は、同様に受取人の固有の財産として所得税または贈与税の課税対象となり、相続財産にならないことにも注意が必要です。
なお、保険法の施行により、契約者である被相続人が遺言によって契約上の死亡保険金受取人をそれ以外の人に指定し変更することが可能となっています。この場合、契約者の相続人がその旨を保険会社に速やかに通知することが必要です。
保険会社では、被保険者の生死が不明でも保険会社が死亡と認めた場合は、死亡保険金を支払うという認定死亡の取り扱いを行っています。これは、民法の失踪者を死亡と認める条件に合致していなくても、保険会社として死亡を認定できれば死亡保険金は支払うという取り扱いです。
2022.04.01 (加藤)