老齢厚生年金の受給者と雇用保険の取り扱い
●雇用保険給付と特別支給の老齢厚生年金の調整
退職して特別支給の老齢厚生年金と雇用保険法による基本手当(失業給付)が同時に受けられる場合は、老齢厚生年金が支給停止されます。老齢厚生年金よりも雇用保険のほうが支給額が多い場合が普通ですが、老齢厚生年金の額のほうが支給額が多く、雇用保険の失業給付を受けないで年金を受給するほうが有利という場合があります。この場合でも老齢厚生年金は停止されますから退職時の給与が低い場合等はかならず両者の比較検討をし、雇用保険の手続きをするべきか否かを確認することが必要です。
●高年齢雇用継続給付と在職老齢年金の調整
65歳未満の人で特別支給の老齢厚生年金と雇用保険法による高年齢雇用継続給付が同時に受けられる場合は、在職老齢年金の調整に加えて、高年齢雇用継続給付との調整も行なわれます。
●調整の方法
高年齢雇用継続給付は、そのまま受給できますが、在職老齢年金については本来の支給停止に加え、上限で標準報酬月額の6%に相当する額の老齢厚生年金が支給停止されます。
注) 高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満で被保険者であった期間が5年以上の人に対し、賃金が60歳時点に比べ75%未満の賃金で就労している場合に、各月に支払われた賃金額に最大15%を乗じた額を支給するものです。
なお乗率は、条件によって以下のように変わります。
(1)老齢厚生年金賃金が60歳時点に比べ61%以下の場合
ダウン後の給与の15%相当額を支給
(2)老齢厚生年金賃金が60歳時点に比べ61~75%未満の場合
一定の算式により上限である15%が漸減されて支給
※各月の賃金と高年齢雇用継続給付の合計が一定金額(36万円前後、毎年8月に変更)を超える場合は、その分給付額を減額
2022.04.01 (保坂)