「食べることは生きること」ともいわれるように、人が生きていく上で食事は欠かせないものであることは、誰もが知るところでしょう。そして、コロナ禍をきっかけとした在宅時間の増加もあり、「料理」に関心を持つ人が増えているようです。
料理することのメリットは?
料理するのは面倒ですか?
いまでは、あらゆる食品が冷凍食品として販売され、レンジがあればすぐに手間をかけずに食べられます。
とはいえ、コンビニやスーパーで手軽に食べ物が手に入る時代だからこそ、自宅で料理を作り、食べることの意義がクローズアップされています。
まずは、料理のメリットを考えてみましょう。
【心が豊かになる】
料理は生きるために必要なもの。
自分自身にとってもそうですが、人のために料理を作ることは利他の精神にもつながるものです。料理を食べているときに、幸せを感じないという人は少ないでしょう。
心を込めた料理は自分自身の精神的な豊かさにも繋がり、同時に食べる人にも喜んでもらえます。
食材が本来持っている免疫効果とともに、食べることの幸せ効果も加わって、さらに免疫力も高まります。
料理は、作る人にも食べる人にとっても心身を豊かにしてくれるものです。
【栄養バランス改善のきっかけになる】
市販の調理食品だけでは、栄養をバランスよく摂ることが難しいことがあります。
もちろん、栄養士が監修してバランスの取れた食材構成になっているものも販売されていますが、出来合いの物ばかりでは、どうしても自分の好きなものに集中しがちです。
主食(ご飯やパンなど)と主菜・副菜(肉・魚、野菜・海藻など)の量や、メニューの少なさからビタミンやミネラルの栄養素が偏るといった影響もあるでしょう。
料理を習慣にすれば、自分で食事のメニューを考えることになりますから、自然と栄養バランスの知識も蓄えられることが期待できます。
【食費の削減になる】
外食が多いと、家計の中で食費の占める割合は上昇します。自宅での料理を習慣にすることで、食費を節約して家計改善に役立てることができます。
原油の高騰やコロナ不況など、さまざまな要因から外食の値段も値上げが相次いでいますから、これまでと同じ感覚だと食費が家計を圧迫しかねません。少々手間はかかりますが、食材を無駄なく利用して料理を作ることで、先述のような心身への効果とともに、家計防衛にも大きく役立つものです。
食育とは?その大切さは?
偏食など食生活の乱れに伴う健康への懸念から、「食育」という言葉が広がっていることをご存知でしょうか。
子どもはもちろんのこと、大人にとっても長寿社会を生き抜く上で大切なことです。
食育がもたらす効果
- ● 心身の健康を維持できる
- ● 食事の重要性や楽しさを理解できるようになる
- ● 食べ物の選択や食事が作れるようになる
- ● 一緒に食べることで社会性が育まれる
- ● 食材や食材を作る人への感謝の気持が生まれる
- ● 日本の食文化を理解し継承することができる
*政府広報オンラインを参考に作成
食育とは、食に関する知識やバランスのよい食を選択する力を身につけ、健全な食生活を実現するための教えを言います。食育が注目されるのは、不適切な食事の摂り方、海外への食料依存、食品の安全性など、食を取り巻く環境の変化も要因となっています。
例えば、不規則な食事や栄養バランスの乱れに伴う肥満や生活習慣病の増加、行き過ぎたダイエットや高齢者の栄養不足の問題などです。
こうした背景から、子どもから高齢者まで、年齢を問わず健康を維持し、健全な食生活を実現するために食育が重要になっているのです。
SDGsにも寄与する料理づくり
世界中の人々がいつまでも安定した暮らしを続けられるよう、持続可能な世界的目標を定めた「SDGs」。この中には、「飢餓をゼロに」「つくる責任つかう責任」「すべてのひとに健康と福祉を」といった、料理と関連する目標も掲げられています。料理でSDGsに貢献できることには、どのようなものがあるのでしょうか。
【食品ロスをなくす】
まだ食べられる状態なのにも関わらず、廃棄されてしまう「食品ロス」が問題になっています。世界中で作られる食料のおよそ3割は廃棄されているそうです。
日本では、農林水産省のデータで見ると、令和元年度の食品ロス量の推計値は約570万トン(食品関連事業者約309万トン、一般家庭約261万トン)。これを国民一人あたりで見てみると、1日あたり約124グラム(ご飯お茶碗一杯程度)、年間では約45キロになります。
食品ロスの主な原因としては、食材を買い過ぎて使い切れない、料理の作りすぎによる食べ残しなどの理由で廃棄されてしまうことが挙げられます。
とはいえ先述の食品ロス量は平成24年に推計を開始して以来最少で、徐々にではありますが、食品ロス削減への取り組みや関心は高まっているものと思います。
【規格外の野菜を購入する】
野菜は、市場に効率的に流通させる関係から、大きさ・形・色などを定めた「規格」があります。この規格から外れてしまった野菜は、「規格外野菜」として扱われ、店舗に並ぶことなく、加工食品やカット野菜として利用される以外は廃棄されてしまいます。
ご存知のように、店舗には形や大きさなどが整った野菜が売られています。「傷がついている」「曲がっている」「細すぎる」などの野菜は、規格外野菜となってしまいますが、野菜の味や品質には影響しません。こうした見た目の問題や先述のような流通の効率化により、一定量の規格外野菜が存在するのです。
私たち消費者にできることは、見た目のよいきれいな野菜だけではなく、規格外野菜にも目を向けることでしょう。最近では、食品ロスなど問題意識の高まりもあり、スーパーやコンビニ、道の駅などで規格外野菜が安く販売されていたり、規格外野菜を取り扱うネット通販などもあります。
味は何ら変わらないのに、捨てられてしまうのはいかにも残念ですね。これからは、買い物時には、規格外野菜がないかどうかもチェックしてみましょう。物価高のいま、家計防衛にもなりますし、個々が取り組めるSDGsに通じるものです。
「消費期限」と「賞味期限」の違いを知っておこう!
食品には、美味しく安全に食べられる期間が設けられていて、食品のパッケージを見ると「賞味期限」や「消費期限」の表示があります。
【賞味期限】
未開封の状態で、パッケージに記載の保存方法守った場合、記載されている期日までは、「品質も変わらず美味しく食べられる」ことを表しています。とはいえ、この期限が過ぎたら食べられないわけではありません。インスタント食品やスナック系のお菓子、缶詰、ペットボトル飲料など、比較的傷みにくい食品に表示されています。
【消費期限】
未開封の状態で、パッケージに記載の保存方法守った場合、記載されている期日までは、「安全に食べられる」ことを表しています。肉類や惣菜、サンドウィッチ、弁当、ケーキ、生の麺類など、品質の劣化が速く、痛みやすい食品に表示されています。消費期限を過ぎた食品は、なるべく食べない方がよいでしょう。
いずれの場合も、基本的な保存方法を守りながら、開封した場合はなるべく早く、表示の期限内に食べ切るようにすることで美味しく食べれますし、食品ロスの減少にも繋がります。
また、いずれの期限表示も「年月日」まで表示されていますが、賞味期限については、製造日から3か月を越えるものについては、「年月」で表示してもよいことになっています。
「食」という文字は、“人を良くする”と書きます。食べることは、すなわち生きることに他なりません。自分なりに料理を楽しむ気持ちを忘れずに、食を楽しみましょう。