「1%控除」も見直される見通し
住宅ローン控除は、一定条件を満たしたマイホームを購入・リフォームするために住宅ローンを借りると、所得税や住民税といった税金が控除される制度です。確定申告で手続きすると、住宅ローンの年末残高の1%にあたる金額(原則、年40万円が上限)が、10年税金から差し引かれます。
現状、2019年の消費税増税の影響を和らげるために、控除を受けられる期間が特例で13年に延長されています。これを利用すると、住宅ローンの残高の1%が10年控除されたあと、11年目から13年目までは「建物価格の2%÷3」または「年末の住宅ローン残高の1%」の、いずれか少ない額が控除されます。
この住宅ローン控除の利用は、もしかしたら「2021年中が狙い目」かもしれません。その理由は2つあります。
ひとつは、2021年中の契約なら、住宅ローン控除が13年受けられるからです。この特例は本来2020年末までに入居することが条件でした。しかし、これが延長され、注文住宅は2021年9月末、分譲住宅は11月末までに契約を行い、2022年12月末までに入居すれば、13年にわたって特例が受けられるようになりました。その分控除されるお金が増えるのですから、お得ですよね。
もうひとつは、住宅ローン控除の「1%控除」が見直される見通しだからです。住宅ローンの金利は現状、固定金利でも1%強、変動金利なら0.5%程度と、とても低水準です。会計検査院の報告によれば、金利1%以下で住宅ローンを借りている人の割合は78.1%です。この状況で住宅ローン控除を利用すると、支払う金利より戻ってくる税金のほうが多くなる「逆ザヤ」と呼ばれる現象が起きることがあります。
2022年度の税制改正ではこの逆ザヤが見直され、「住宅ローン残高の1%」と「利息の総額」のどちらか低い額が控除されるようになる見通しです。すると利息の総額のほうが低い人は控除額が以前より減ると予想されます。なお、すでに住宅ローン控除の適用を受けている人は対象外となる見込みです。
住宅ローン控除の効果をできるだけ生かしたいならば、2021年中に利用することも、ぜひ検討してみてください。