株価が下がって株を買いやすくなる
株式分割を実施する企業が増えています。2023年1月〜6月に株式分割を実施(実施予定)の企業は66社あります。前年同期は34社でしたから、その数実に約2倍。また、2023年7月以降の株式分割を発表している企業もあります。
株式分割とは、1株をいくつかの株に分割して、発行済み株式数を増やすことです。たとえば1株を2株に分割したり、3株に分割したりすることをいいます。
株式分割は、これまであった株をただ複数に分割するだけですので、企業の価値そのものは変わりません。1株の株価が1000円の銘柄が2株に分割すると、理論上は、株価は500円になります。1000円札を両替して、500円玉2枚にするようなイメージです。
しかし、これから株を買う投資家は、株価が下がると投資に必要なお金が少なくて済むので、投資しやすくなります。
株は通常、「100株単位」の単元株で売買を行います。1株1000円の株を買う場合は、1000円×100株=10万円が必要です。しかし、株式分割で1株500円になったら、必要な資金は500円×100株=5万円で済むことになります。株式分割を行うと、これまで「高くて買えない」と思っていた投資家が新たに株を買うため、株式分割後に株価が上昇するケースもあります。
株式分割が活発になっている背景には、2024年から始まる新しいNISAがあります。
NISAは、投資の利益にかかる税金をゼロにできる制度ですが、現行のつみたてNISAでは株式投資ができません。また、一般NISAならば株式投資ができるものの、非課税期間は原則として5年間。両制度の併用もできませんでした。
しかし、新しいNISAでは「つみたて投資枠」でつみたてNISAと同様の投資をしながら、「成長投資枠」で一般NISA同様の株式投資ができます。また、非課税期間も無期限になります。つまり企業は、個人投資家からの投資を呼び込むために株式分割を進めている、というわけです。
2023年5月、日経平均株価がバブル後の最高値を更新しました。株式分割と新しいNISAによって、株価がさらに上昇するのか、注目しましょう。
※記事内のデータは2023年6月15日時点のものです。株式投資には元本保証がありません。自己責任で実施してください。