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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2023年2月号掲載

誰も知らない「保険」

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このコーナーでは、「わたしたちのくらしと生命保険」をテーマにした公益財団法人生命保険文化センター主催による第60回中学生作文コンクールの入賞作品をご紹介します。

全日本中学校長会賞

千葉県 いすみ市立大原中学校
一学年 勝見 流々(かつみ るる)

「ところで保険料っていくらでしたっけ。」

そんな母と祖母のやり取りに姉と目を見合わせ、違和感を覚えたのは今から三カ月前のこと。話を聞けば、保険料どころかその保険の中身も知らないらしい。私は毎月支払っているはずの保険について何も知らない母を見て、どういうことなのだろうと不思議に思った。

そうは言っても、母が知らないのも無理はない。なぜなら、私が住んでいる漁師町では、組合から紹介された保険に加入するのが当たり前の文化で、祖母がまとめて管理していたからだ。

どうやら、家族全員分の保険料の支払いは祖母がしているようだった。しかし、その祖母ですら、契約してから時間が経つと、どんな内容か忘れていたことはさらに衝撃だった。自分たちが汗水垂らして働いて稼いだお金で、将来の備えをしているのに、万が一の時にどのような備えができているのか分からなければ、備えとして機能しているとは言えない気がしてしまう。

私は保険について家族に伝えたい気持ちと、ちょっとした好奇心で、調べずにはいられなかった。今はスマホもあるし、ネットを使えば様々な情報が手に入る。そもそも生命保険は必要なのか、加入している保険は適正な金額であるか、見直すきっかけを作りたくて様々な記事や動画をたどることにした。

ある日、私は勇気を出して、国が医療費を七割負担してくれている話や高額になった場合の保障制度などがあることから、

「保険自体いらないのではないか。」

と家族へ伝えてみた。しかし、母は私に、

「保険は自分のために入っていない。明日自分の身に何が起こるか分からないから、保険は家族への投資。自分の大切な子供たちへの備えに理由はいらない。」

と言った。保険を理解していない割には、妙に説得力があった。たしかに一時的な損得感情で保険をやめることは簡単かもしれないが、長期的に考えてみたら、人生どんなアクシデントがあるか分からない。

祖父が交通事故で亡くなった時も保険金がなければ、私たち家族は路頭に迷っていた可能性だってあった。そうならずにいられたのは、祖母がしっかりと生前から備えていたからに違いない。何よりも家族愛を感じられたことが、私は嬉しかった。だからこそ改めて、保険を知らないことは非常に危険で、他人任せにすることもきっと違う。家族とはじめて保険について真面目に話してみて、それだけは胸を張って言える。私はしっかり知識をつけて、自分に子供ができた時の備えはしっかりしてあげたい。

「子供はケガや病気にならないことが一番だけれど、保険はお守りのような存在だ。」

と母は言ったが、それがただのお守りになっていてはいけないと私は思う。そして、保険のことをしっかりと理解していなかった祖母と母にもう一度加入している保険を見直してもらい、正しい知識と付き合い方をしてもらいたい。そうすることで、保険が本当の意味で安心と備えの二つの役割をするのではないだろうか。

あの話し合いからしばらくして、家族で難しい話をする機会も増えた。そのきっかけを与えてくれた保険に、今は感謝している。そして、今では「誰も知らなかった保険」はもう我が家にない。

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