北海道 北海道教育大学附属札幌中学校
二学年 小路 凛佳(こうじ りんか)
私には将来、音楽の道に進むという夢がある。
そのために、今は歌やダンスなどの勉強をしている。友達、先生方、祖父母、兄など、私の夢を応援してくれる人がたくさんいる。その中でも、一番私の夢を応援してくれているのが、両親だ。毎日仕事が忙しいのにもかかわらず、夜遅くでも、唯一の休日である週末でも、習い事の送り迎えをしてくれる。また、コンクールや舞台に出る時には、どんなに忙しくても必ず見に来てくれる。
「どんなことがあっても夢をあきらめるな」
父はいつも私にそう言ってくれた。そのような両親の支えがあるからこそ、私は自分の夢に向かって努力を続けられているのだと思う。
今年の夏。それは突然のことだった。私のもとに、父が仕事中に倒れたと連絡が入った。
私は兄と一緒に、急いで病院へと向かったが、私達が着く前に、父の心臓は止まっていた。病院に着いてすぐに、医者から「こちらに着いた時には、もう、手の施しようがありませんでした。」と、告げられた。何が起きているのか、すぐには理解できなかった。
嘘であってほしい。現実を受け止めることができず、ただただ私は泣き叫んでいた。
父が亡くなって一カ月が過ぎた。未だに父がいなくなってしまったという実感がわいていない。仏壇にある、父の写真を見るたびに、父がまた笑顔で「ただいま」と帰ってきてくれるような気がした。
そのような毎日を送っている中で、私には気になることがあった。
このまま、夢を追いかけていくことはできるのだろうか。追いかけていいのだろうか。コンクールや舞台に出演したり、これまでと同じように習い事を続けることで、時間的にも金銭的にも、家族に負担をかけてしまう。
そのように考えていた時、我が家に生命保険会社の人がやってきた。
初めて知ったことだが、父は自分に何かがあった時に、それが理由で、私や兄が夢をあきらめることがないようにと、生命保険をかけていてくれたそうだ。そのことを知った時、父の担当をしてくれた人が契約を結んだ時のことを話してくれた。
「生前、お父さんから、子供達が夢を持って頑張っていることを聞いていましたよ。あなたが娘さんですか。音楽の道を目指しているのですね。このたびは本当に本当に悲しいことでした。でも、お父さんのあなたを応援する気持ちを、このようにお金という形で残すことができて、私達は本当に嬉しいです。これからも、夢に向かって頑張ってくださいね。」
人の命はどのようなお金にも代えられるものではない。
私は、父に生きていてほしかった。これからも「がんばれ」と声をかけてほしかった。でも、それがかなわなくなった今、これが父からの最後の贈り物となった。父からの最後の贈り物を、父の想いを、このような形で私達のもとへ届けてくれた生命保険会社の皆様には、心の底から感謝している。
これからも私は、父の想いを心に刻み、父と一緒に、自分の夢に向かって挑戦していこうと思う。
私は、どんなことがあっても夢をあきらめない。