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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2023年6月号掲載

生死混合型保険でリスクに備える

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優秀賞

山口県 宇部フロンティア大学付属中学校
二学年 白石 悠森(しらいし ゆうしん)

一昨年の夏のことだ、父方の祖母が亡くなって十年が経ったとき、父が「おばあちゃんからの仕送りが終わったよ」と言った。

「亡くなった祖母からの仕送り?」私は何のことか理解できなかったので、父に詳しく説明してもらうことにした。

仕送りの正体は祖母が加入していた「個人年金保険」という生命保険のことだそうで、詳しく調べてみたところ「十五年の保証期間付き終身年金」というもので、祖母が生きている間はずっと年金が支払われ、公的年金と合わせると現役時から生活水準を落とさずに済むだけの収入が確保されることになっていた。

つまり、祖母は老後も長生きしたとしても父や私たち孫に経済的な負担を掛けまいとして、長生きというリスクに対応した生命保険に加入してくれていたのである。

実際は祖母が加入していた個人年金保険の受給が始まって五年目に祖母が亡くなったため、十五年の保証期間の残り十年間の年金を相続人である父が受け取ることになり、父はそれを「仕送り」と呼んでいたのだ。

父の話によると、父方の祖父という人は、根っからのスポーツマンで病気知らずが自慢で、酒豪かつヘビースモーカーなのに生命保険が大嫌いな人だったそうだ。

そんな祖父がくも膜下出血のため四十二歳で突然死したとき、父はまだ小学四年で、生命保険に入っていないばかりか貯蓄もほとんどなく、かろうじて遺族年金で食べていくことができたそうだが、好きだった習い事に通えなかったことや、あこがれの中学を受験できなかったことがいまでも心残りだという。

いま私は、父があこがれていた中学の二年生として毎日通学することができているとともに、好きな数学を専門的に学べる教室にも参加させてもらっている。

現在、父と母が加入しているのは〝生死混合型〟といわれる生命保険で、万が一の死亡時に遺族が受け取れる保険金額と、満期時まで長生きしたときに本人が受け取れる保険金額が同じというものだそうだ。

父母からみて長男の私が大学を卒業するまで早くてあと九年、一番下の弟が大学を卒業するまであと十四年である。

父いわく「自分が苦労したからこそ、子どもたちには経済的な面で進学をあきらめてほしくない。だから生死混合型の生命保険を選択した」そうだ。

人生百年時代、退職後の老後生活を送るためには夫婦二人で二千万円必要だというニュースは、たとえ健康で長生きすることができたとしても、経済的な余裕がなければ、自分の思い描く理想の老後生活を送ることができないという〝長生きリスク〟という現実を突きつけられた思いがした。

私は、父母が私たち兄弟の将来を考えて、死亡・長寿両方のリスクに対応できる生命保険を選んでくれたことに感謝し、病気や事故で親を悲しませることのないようにして学生生活を満喫していきたいと願っている。

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