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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2021年10月号掲載

遺族年金はいくら受給できる?

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30代の会社員(男性)です。もし私に万一のことがあった場合、遺族年金はいくらくらい受給できるのでしょうか。毎年送られてくる「ねんきん定期便」に、将来の老齢年金の見込み額が出ていますが、老齢年金と同じくらいなのでしょうか?

遺族年金の計算方法は、老齢年金とは異なり、「ねんきん定期便」に記載された老齢年金の額と遺族年金の額は同じではありません。遺族年金の額は、子どもがいるかどうかや死亡した人のこれまでの給与の額により大きく異なります。

子どもの数によって……

厚生年金保険の被保険者である会社員が死亡した場合には、一定の要件を満たせば、遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。

まず、遺族基礎年金ですが、18歳までの子どもがいることがその受給要件となっています。正確には、死亡時に子どもが18歳到達後最初の年度末(3月31日)を迎えていないことが必要です。いいかえると、死亡時に高校卒業までの子どもがいない場合は遺族基礎年金が支給されることはありません(注1)。

遺族基礎年金の額は、子ども(18歳到達年度末までの子ども)の数により異なります。配偶者が受け取る場合、その額は子ども1人の場合、100万5600円、2人の場合は123万300円などとなっています(いずれも2021年度価額の年額)。

(注1)子どもが一定の障害状態にある場合は、満20歳未満であれば支給対象になります。

夫(会社員)が死亡した場合に受け取れる遺族年金の額(月額、円)

平均月収 20万円 25万円 30万円 35万円 40万円 45万円 50万円
子なし 妻40歳未満 20,554 25,692 30,831 35,969 41,108 46,246 51,384
妻40歳以上 69,362 74,501 79,639 84,777 89,916 95,054 100,193
子1人 104,354 109,492 114,631 119,769 124,908 130,046 135,184
子2人 123,079 128,217 133,356 138,494 143,633 148,771 153,909
子3人 129,320 134,459 139,597 144,736 149,874 155,013 160,151

(注)金額は遺族基礎年金と遺族厚生年金の合計額を月額換算したもの。厚生年金保険の被保険者期間を300月以下として試算(300月超の場合はその期間に応じてより多くなる)。平均月収は厚生年金保険被保険者期間の平均標準報酬額(再評価は考慮していない)。

給与が多ければ年金額も多く

一方、遺族厚生年金は子どもがいない場合も支給されます。その額は遺族基礎年金のように定額ではなく、亡くなった人の厚生年金保険の加入期間やその間の給与等の額に応じて決まります。加入期間が長く、給与が多ければそれだけ保険料をたくさん払っているわけで、その分、年金額も多くなる仕組みです。

もっとも、加入期間については、25年(300月)未満の場合は、300月とみなして計算することになっています。すなわち、加入期間が短くても、300月分保険料を納めたものとして年金額が計算されます。給与の額については、厚生年金保険に加入してから死亡時までに受け取った月給と賞与の累積額をその間の加入期間(月数)で割ったもの、すなわち賞与込みの平均月収(注2)を用いて計算します。この平均月収が多いほど年金額も多くなります。

表に、子どもの数および平均月収に応じた遺族年金の額(月額)を示しました。「平均月収」は実際には複雑な計算をしますので、この表の額はあくまでも目安としてみてください。子どもがいないケースで妻が40歳以上と40歳未満で分かれているのは、40歳以上の場合、中高齢寡婦加算額という加算があるからです。

さて、表の金額をみて、遺族年金は意外に少ないと感じる人が多いのではないでしょうか。

(注3)正確には、平均標準報酬額に再評価率を乗じたものを用いる。

Profile

武田祐介

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランナーの教育研修、教材作成、書籍編集の業務に長く従事し、2008年独立。武田祐介社会保険労務士事務所所長。生命保険各社で年金やFP受験対策の研修、セミナーの講師を務めている。

公式HP https://www.officetakeda.jp/

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