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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2023年6月号掲載

NISA、新制度に衣替えへ

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2024年からNISA制度が抜本的に変更される。非課税とされる期間が無期限とされるなど、これまで指摘されていた欠点が解消し、使い勝手が劇的に向上する。

問題だった「期限」

A この欄では3回にわたってNISAについて説明したけれど、その制度が大きく改正され、来年2024年1月から新NISAがスタートすることになった。

B NISAは一定額までの投資について、配当や売却益に税金がかからない制度ですよね。税制改正で仕組みが変わるというニュースは見ました。

A 「変わる」というより、現在の制度に代わってまったく新しい制度が導入される、といったほうが適切なくらい、根本的に仕組みが改められるんだ。新たに生まれ変わる、といってもいいよ。現在の制度と来年からの新制度の概要を表(下表参照)にまとめたけれど、最大の違いは、「無期限」になったということなんだ。

現行制度 つみたてNISA 一般NISA
年間投資枠 40万円 120万円
非課税保有期間 20年間 5年間
非課税保有限度額 800万円 600万円
口座開設期間 2042年まで(注) 2028年まで(注)
併用 できない
(年ごとにいずれかを選択)

(注)改正前の期限。新制度の創設に伴い2023年までに変更された。

新制度 つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有期間 無期限
非課税保有限度額 1800万円
(うち成長投資枠は1200万円)
口座開設期間 期限なし
併用 できる

B いまの制度では期限(一般NISAは5年、つみたてNISAは20年)があります。期限がくると非課税の扱いが受けられなくなるんですよね。

A そういうことだよ。ただ、たとえば一般NISAで5年の期限がきたときは、その翌年に新たに設定するNISA口座に移管して引き続き非課税の扱いを受けることはできる。

B 実質的には無期限なんですか?

A そうではない。既存の仕組みでは一般NISAの口座を開設できるのは2028年(改正により2023年)までだったので、そこから5年たったら非課税の扱いは終了する。そのときは課税口座に移すしかない、という状況だった。さらに問題は、その移すときの株などの価格が5年の期間の終了時の価格とされていたことなんだ。

B なにが問題なんですか。

A たとえば、NISA口座で1000円で買った株が5年の期限がきたときに800円に値下がりしていた場合、その800円が課税口座へ移管するときの取得価格とされる。かりにその後この株が1500円に上がって売却したとすると、売却益は700円とされ、この700円に対して課税される。ところが、実際には1000円で買っているので売買差益は700円ではなく500円だ。本当は500円しか儲かっていないのに700円儲かったとされて課税されてしまう。いまのNISAにはこのような欠点があったんだ。

非課税保有限度額の1800万円は復活あり

B 新しいNISAは無期限だからそうした事態は避けられるわけですね。

A そう、5年で強制的にリセットされるということはなくなる。もう一つ、いまの制度と新制度との大きな違いは、投資金額が大きく拡大されることだ。つみたて投資枠と成長投資枠を合計して年間360万円までの投資に対して非課税扱いになる。

B 別途1800万円の非課税保有限度額というのがありますが……。

A 年間の投資限度額は360万円だけど別途、一生涯で1800万円まで、という限度額があるんだ。

B 毎年360万円ずつ投資したら5年で使い切ってしまいますね。

A この1800万円は使い切りということではなく復活するんだ。つまり、新NISAで買った株などを、その後売却した場合はその分がまた使える。売り買いを繰り返している場合、残高が1800万円以内であればいいということだ。1800万円という額は平均的な家計の投資額からみれば十分な数字といえるよ。

B 今のNISAの投資分や投資信託は新NISAに移管できますか。

A 残念ながらそれはできない。今のNISAで購入した株などは、一般NISAなら5年、つみたてNISAなら20年の期限がきたらそこまでで、非課税の扱いはなくなるよ。ただ、今のNISAと新NISAは別建てなので、今のNISAの投資額にかかわらず、新NISAは表に示したとおりの投資枠、限度額が適用されるよ。

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