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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2023年8月号掲載

20.315%が標準 —— 金融商品の税金 —— 

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先月号で説明したとおり、NISAなら非課税になる株式投資の配当や売却益は、通常は20.315%の税率で課税される。では、株式以外の金融商品の課税はどうなっているのか。

預貯金、債券はNISA対象外

B 前回までの話では、株式や株式投資信託から得られる利益は、通常は20.315%の税金がかかるけれど、NISAならそれが非課税になるということでした。株式や株式投資信託以外の金融商品の課税はどうなっているのですか。

A まず、銀行の預金や郵便貯金は、やはり利息に20.315%の税金がかかる。その内訳は前回も説明したとおり、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税が0.315%だよ。で、この率の税金が利息から源泉徴収される。源泉徴収により課税関係は終了し、確定申告は必要ないし、株の場合などと異なり、あえて確定申告するということもできない。

B やはり20.315%なんですね。

A いまは超低金利だから、預貯金の利息自体が少額で、その20.315%だから、税金がかかるといってもピンとこないけどね。

B 預金以外はどうですか?たとえば国債は?

A 国債などの債券 —— 国債だけでなく地方公共団体が発行する債券や社債なども含めて(注1)、利子に対する税率はやはり20.315%なんだ。預金の場合と同じように利息が支払われるときに源泉徴収される。

B やはり確定申告は不要ですか。

A しなくてもいいけれど、分離課税で申告することもできる。というのは、申告することにより、上場株式などの譲渡損失と損益通算できる。前回説明した株式の配当と同じ扱いだ(注2)。また、債券の売却益も株式の売却益と同じ扱いだよ。

B というと、やはり20.315%の税率ですか。

A そういうことだね。

B ということは、株式や投資信託だけでなく、預貯金や債券もすべて20.315%の税率ということですね。

A そのとおりだよ(注3)。ただ、預貯金や債券はNISAの対象外なので、NISA口座に受け入れることはできず、NISAによる非課税の恩恵は受けられないよ。

(注1)ここでは「特定公社債等」(国債、地方債、公募公社債等)について説明している。特定公社債等に該当しない私募債などは一部取扱いが異なる。

(注2)ただし、特定公社債等の利子は総合課税で申告することはできない。

(注3)20.315%は分離課税の場合の税率。上場株式等の配当について総合課税を選択した場合の税率は異なる。

生命保険では例外的扱い!?

B ところで、生命保険で20.315%の税金がかかる場合がありましたよね?

A いわゆる金融類似商品と呼ばれるものだね。

B 一時払い養老保険などですよね。

A 養老保険は満期返戻金があるので、金融商品に類似しているということで、一時払いなど一定の要件を満たすものは、預貯金などと同じ扱いになっているんだ。ただし、保険期間が5年以内のもの —— 5年を超えるものであっても5年以内に解約して解約返戻金を受け取った場合を含む —— に限られる。金融類似商品に該当するものは保険差益の20.315%が源泉徴収されて課税関係は終了する。

B 一時払い養老保険のほかにも、金融類似商品に該当するものはありま すか。

A 有期型の一時払い変額保険や確定年金タイプの一時払い個人年金を5年以内に解約して解約返戻金を受け取った場合が該当する。

B 一時払い終身保険を5年以内に解約した場合はどうですか。

A 終身保険は5年以内に解約した場合であっても、金融類似商品には該当しない。通常の課税 —— 一時所得として総合課税扱いになる(注4)。

B 通常の一時所得扱いとは……。

A 保険差益は、所得税の計算上、一時所得という所得の分類になる。受け取った解約返戻金から支払った保険料を引いて、さらに特別控除として最高50万円を差し引いた金額が一時所得の金額となる。この一時所得の金額の2分の1を他の所得と合算して所得税を計算することになる。一時払い終身保険だけでなく、5年超の一時払い養老保険など金融類似商品に該当しない場合は同じ扱いだよ。保険の場合、20.315%が源泉徴収される金融類似商品扱いはむしろ例外的な扱いなんだ。

B 一時所得となる場合、確定申告が必要ということですか?

A 原則として必要だよ(注5)。ただし、50万円の控除額を超える保険差益が出て、一時所得が発生すれば、の話だけどね。

(注4)ここでは、契約者(=保険料負担者)と受取人が同一の場合について説明している。同一でない場合は相続税または贈与税の対象になる。

(注5)給与所得者で他の所得(一時所得は2分の1にした金額)が20万円以下の場合は申告不要とされている。

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