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Web magazine“Present” 広報誌「Present」Web版

2024年1月号掲載

そもそも確定申告 とは?(前編)

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日本の納税制度の根幹をなす確定申告制度。ただ、多くの会社員は、所得税の納付が源泉徴収と年末調整で済んでいて、確定申告は無関係だ。そもそも確定申告とは何なのか。

「税はお上が決めるもの」から転換

A 間もなく確定申告の季節がやってくる。自営業などの人は1年間 —— 2023年1月から12月までの所得とそれに対する所得税額を計算して、2024年2月16日から3月15日までに申告して納税しなければならない。

B 私も毎年、確定申告をしていますが、友人の会社員の人は申告していないといいます。なぜ、人によってしなければならなかったり、しなくてもよかったりするんですか。

A そもそも日本では、納税者 —— 税金を納めるべき人 —— が自ら税額を計算して、申告して納めるのが原則なんだ。これを申告納税方式といい、その手続きが確定申告だよ。

B 「自ら税額を計算して」とのことですが、なかには申告すべきものが洩れていたり、申告した内容が正確でないため、正しい申告や納税ができない場合もあるんじゃないですか。

A もちろん、申告洩れや不十分な税務知識により申告内容が妥当でない場合もあるから、税務調査が行われているわけだよ。いずれにしても、自ら税額を計算して申告する、というのが日本の納税システムの基本なんだ。所得税や法人税、相続税などもこの申告納税の仕組みで徴税されている。

B 申告納税以外の仕組みもあるのですか。

A 申告納税方式に対して賦課方式というのがある。これは税金を課す国や地方公共団体が税額を計算して、納税者に納付書を送るなどして納付させる仕組みだ。固定資産税や住民税はこの方法によって課税される。ただ、この賦課方式はあくまで例外的な取扱いで、基本は申告納税方式なんだ。

B 賦課方式のほうが自分で税金の計算をしなくていいので楽なような気がしますが……。

A そういう考え方もあるだろうね。じつは申告納税方式が導入されたのは戦後すぐの1947(昭和22)年で、それまでは賦課方式が中心だったんだ。日本では、租庸調の時代から「税はお上が決めるもの」と考えられていた。ところが戦後になって、いまの日本国憲法に主権在民が謳われた。そこで税も国民主権に基づき、国民自らが自主的に納めるというシステムに切り替えられたんだ。税の世界も民主化された、ということだよ。

会社員でも申告が必要な人も

B ところで、話は戻りますが、会社員の人は確定申告しなくてもいいんですよね。会社員の世界には、税の民主化が及んでいないということですか。

A そういうわけではないだろうけれど、実務的な問題から、会社員、正確にいうと給与所得者は会社で年末調整を受けることにより税額が確定するので、通常は確定申告はしなくていいことになっている。いわば例外的な扱いなのだけど、その例外扱いのほうが数としては多いんだ。仕事をしている人のうち約9割が雇用者だからね。

B なぜ、そんなことになっているんですか。

A 端的にいえば、すべてのサラリーパースンが確定申告をしたら、それをチェックする税務署は仕事が回らなくなってしまう。そこで、税金の計算と納付を企業に肩代わりしてもらっているんだ。それが源泉徴収と年末調整という仕組みだよ。

B なるほど。それはそれで会社員にとっては自分で計算しなくて楽ですよね。

A ただ、すべての会社員が確定申告をしなくていいというわけではない。しなくてもいいのは、1つの会社だけから給与を得ていて給与収入が2000万円以下で年末調整が済んでいる人、かつ給与所得、退職所得以外の所得が20万円以下の人に限られる。

B ほとんどの会社員はそれに該当しますよね。年収2000万円以下で副業、兼業をしていなければいいということですよね。

A たしかに多くの会社員は申告不要だけど、副業、兼業をしていなくても、他の所得が20万円を超えることはある。たとえば、生命保険の満期金や解約返戻金を受け取って、その所得が20万円を超えた場合などは確定申告が必要になる。

B なるほど……。

A そのほかにも、確定申告しなくていいケースであっても、したほうがいい —— すれば税金が還付されるケースもある。たとえば、医療費控除など年末調整での税額計算では考慮されない所得控除などを適用できる場合だ。確定申告をすることで年末調整で加味されなかった控除が反映されるので所得が減って、その分減少した税額が還付されるよ。(次号に続く)

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